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ピアノの構造を音色から考えてみる 3


エネルギーを音色に変換させる時の重要な物指し。

音の伸びと音の幅のバランス

音の芯の太さ

この二つに対して、ピアノの構造からご説明させていただきます。

刷り込まれたサガで、頭にスタインウェイがいつもあります。

どうしてあんな構造なんだろう?

色々なメーカーが真似をしているのになぜ音色が似ないんだろう?

多分多くのメーカーはスタインウェイを見習い、

時には分解したり、寸法、設計、材質、部品メーカーなどを採用したり、

世の中はスタインウェイ一色です。

最近僕はそうでもなくなっていますが。

下の写真はスタインウェイ方式のピアノの裏側の柱です、写真はヤマハです。

不思議です、強度的には落ちます

また、何で柱を点に集中させないといけないのか

また、集中させる場所が鍵盤の根元、響板の始まりなのか

僕は理由が全く分かりませんでした。


c2giu.jpg


響板の中心に柱の中心を持ってこれば強度は増す
yamahaux.jpg

スタインウェイ方式は強度的に優れているから、
柱の中心を響板からずらしている訳ではありません


また、強度的には点にするより格子型など、広く支える方が有利です。

この時思い浮かんだ理由は、音の芯の太さです。

音の芯を細くするために点で結合して、ピアノの中心を決めた

また、ピアノの中心がなぜ、響版の根元、鍵盤の奥なのか?

それは人間の感覚で決めていると思います。

グランドピアノを前にしたとき、ピアノの中心を自然に感じます。

大きなグランドの響板の中心ははるか遠くに見えます。

しかし、奏者から見えるピアノの中心は響版の根元

それにピアノの音の中心を聞いて感じてみると、

スタインウェイはちょうど重なります。

上の一枚目のヤマハのグランドの柱、

響板の中心近くに、もう一本下に伸びてる柱がありますね。

これのおかげでヤマハは音の芯が太くなっているように思えます。

下の拡大した写真は、有名なスタインウェイのサウンドベルです。

写真の左手前の金色の金具です、高音側の鉄骨を支えています。

これ自身が魔法のような神秘的な構造と語られています。

しかし、ピアノの中心を一点で細くするために、

支えきれない高音側の強度を、ピアノの側面で支えさせた

ヤマハは最初の写真のように、高音側に柱を増設させた。


stgiu.jpg

また、2枚目の写真はヤマハアップライトUXですが、

調律は狂いにくいのですが、音がカンカンうるさい。

理由は人間の感じるピアノの中心と、

響板の中心が、人間の感覚的にズレて音の芯が二つ出来てしまっていないか

そう考えさせます。

人間の本能で感じる、空間の察知、物質の材質、強度、中心などの本能で感じる感覚

それをスタインウェイは忠実に設計されているように思えてなりません。

4に続く






ピアノの構造を音色から考えてみる 2

まず、音色の考え方についてお伝えいたします。

これは経験から、整音(ピアノの音色の調整)に基づいての考えです。

考えの正しい、間違え、また、世の中の諸先生方の意見と違う場合もありますが、

個人の調律師の意見として捉えてください。


指のエネルギーをしっかり弦に伝えた上で、

・音の幅、表現力と音の伸びは相反する

太い音、音量は横への広がり。

音の伸びは縦への長さ。

この二つに指からのエネルギーを振り分け、バランスを取ります。

ヤマハのように音が割れるピアノは、極力接点を点にするか、

柔らかい接点で音を割れなくします。

どちらとも縦方向のエネルギーに変換させる傾向があります。

よって現代のヤマハは音がやせ気味です。

カワイのようにエネルギーのロスを感じ、表現力が足りないと感じるピアノは、

同じですが、接点を極力点にするか、

ハンマーの芯をしっかり保って、脇に弾力を持たせるかで、

どちらとも縦方向のエネルギーに変換させる傾向があります。

シンメル、ザイラーのような、初めから音の伸びに振ったピアノは国産にはほとんどありません。


音の芯をいかに細くするか

音の芯が太いピアノでよい音のピアノはほとんどありません。

80年代以降のスタインウェイ、グロトリアンが男性的だと言われますが、

その限度を超えて太いのが、ヤマハ、カワイなどの国産のピアノです。


何を言っているのか?

誰でも中学生の頃、歌の練習を学校でさせられたと思います。

姿勢を正し、お腹を引き締め、声が上に上がるように、横に広がらないように。

エーではなくオーと声を出す練習をしませんでしたか?

しかし、力強いフォルテの声は、

上に抜けすぎては肝の座った強い音にはなりません。

その時声は少しだけ横に広がります。


あれです、国産のピアノはエーなんです。

グロトリアンなどは、ウイーン合唱団でなく、

テノール歌手みたいに男性的だということです。

指のエネルギーをしっかり弦に伝えた上で、

意味は、肺からの息をしっかり声に変換させて、そんな感じです。

調律師の先生が、音色の理想は薄い陶磁器のような繊細な形

と言われていましたが、まさにその通りです。

この考え方でピアノの構造を見れば、

僕が分からなかったこと、不思議に思ったことは、

少しつながってきました。

その3に続きます。








ピアノの構造を音色から考えてみる

非常にお久しぶりです。

前回の鉄骨の件ですが、

僕はピアノを作ったことが、鋳物を作ったことが無いのでわかりません。

ただ、鉄骨が振動するピアノは包容力があり、

簡単に音が割れす、ヒステリックでない代わりに音が止まらない。

音がしっかり止まるピアノは鉄骨の振動が渋いので音がうるさい傾向がある。

響板と共に鉄骨もエネルギーを吸収している。

鉄骨は簡単には振動は止まらない、だから音も止まりにくい。

鉄骨の振動を制限すれば、音は止まる代わりに振動の吸収を制限するので、

エネルギーの包容力が落ちて、音がヒステリックに割れやすくなる。

そう思います。


日本人はノイズ、雑音、音の止まりには非常にうるさい

しかし、ピアノの音色にはそんなにうるさくない。

ヤマハは数少ない、しっかり音が止まるメーカーです。

日本人の趣向にピアノの特性を合わせているように感じます。

細かな均一化されたつくり、雑音の少ない、しっかり音の止まるヤマハ

唯一あとに残したのは音色そのもの、しかし、表現力、バランス、調律の保持

いずれも世界のトップレベルです。

カワイ、国産他メーカーが世界の標準には近い気がします。

ヤマハは日本人の趣向に特化している個性のあるピアノです。


ピアノの構造を音色から考えてみる

ピアノを何とか良い音色にしたい。

それには調整、整音だけでは限界がある。

しかし、ピアノの構造は作ったことが無いから分からない。

自分が分かることは何だろう?

音色のことは少しは分かる。

ピアノの音色からピアノの構造を考えれば、

なんとなく構造の理由が見えてきた。


あくまでも個人の調律師の私見です。

絶対とか、正しいとか、そんなものではありません。

また、大したことも書きませんがよろしくお願いいたします。

気の向いた時に。数回に分けて書いて行こうと思います。

キーワードがあります。

機械を考える時、

寸法、精度、理論などが重要になります。

それは技術者が大好きで、

何でも目に見えることが大切で分かりやすいのですが、

ピアノは楽器で、音色を出すもの。

理論より感じることが大切じゃないのだろうか?

当たり前すぎる答えですが。

ここを忘れてしまっています。

何を言ってるのかわかりませんね。

次回から少しずつ書いていきます。










鉄骨について少しだけ考える

鉄骨を観察する視点ですが、音色です。

鉄骨は鳴ってはいけない、そう言われてきました。

なぜ鳴ってはいけないのか?その理由は聞いていません。

想像していたことは、鉄骨が鳴ると音の止まりが悪くなる。

鉄骨が鳴ると、ボディの振動を伝える場所が増えるので、

音が割れにくくなり、音色がまろやかになる。

確かめていようと、鉄骨へ振動を与えて助長させる実験を行いました。


音が出ない場合は、全画面にして音量を調節してください。

ヘッドフォンで注意深く聞かないとわからない程度ですが、

現物は体感できました。

また、音に敏感なお客様宅で検証もさせていただきました。

これから、どこの箇所が効果的に作用するなど、

勉強していかなくてはなりません。


ヤマハYU5

音の止まり方は別格で、流石ヤマハという感じです。

しかし音色が固く、特に高音域は耳を塞ぎたくなるほどうるさいです




ヤマハYU5鉄骨干渉後

鉄骨にあえて物を干渉させて振動の流れを作ってみました。

音の止まりが微妙に悪くなり、

高音域のうるさかった音色は、音の割れは低減しました。




カワイUS50

音の止まりが悪く、音が鳴った後モワーと残響音が残ります。




カワイUS50鉄骨干渉後

音が少しだけはっきりと、残響音も少しだけ低減されました。



実験をして、

ヤマハは鉄骨を振動させないように努めている。

音の止まり、切れは最高レベルだが、

ボディの振動させる部分が木部と鳴りの悪い鉄骨となるので、

振動の行き場を失い、音が割れる傾向になる。


カワイ

標準的な音の止まり方、残響音が残る。

金属的な音はヤマハほどではない。

鉄骨が振動しても、振動の流れを作ると音がはっきりして、

少し残響音が減る。


なぜヤマハは標準的な鉄骨の鳴りを止めて、音を止める傾向にしたのか?

日本の住宅は昔は和風建築が多く、お部屋の響きがほとんどありませんでした。

よってピアノの雑音、音の止まりなどのクレームが多かったのでしょう。

そしてクレームに対処するのはメーカーとして自然なことで、

このような鉄骨の作りになったと思われます。

しかし、現代の断熱された響きの鋭い家ではお部屋との相性は果たしてどうなのか?

音の止まり、雑音は昔ほどは気にならない反面、

カワイのまろやかな普通の鉄骨の方が相性はいいかもしれないと感じました。




あけまして おめでとうございます

昨年はお客様、お世話になっているお取引先、先生、

皆様のおかげで無事に終えることができました、

心より感謝申し上げます、今年もよろしくお願いいたします。



昨年を振り返り、目標は一点でした。

いかに短時間で演奏時に苦痛を感じないようにするか。

不可能と思えた、短時間での針刺しを克服してきていると思います。

商売として考えると、クレームなくお客様に不安を与えず、

お金をもらってくることが理想ですが、

より良い演奏の環境、心地よい響きに変えることが、

合理的でない挑戦でした。


お客様は音を分かっています、

少なくともピアノを弾く人ならば、小さい子も分かります。


ただ、リスクを伴います。

私は何台もピアノを触っていますから、どう変化するのか、

短時間で、できることはここまで、次回はこの作業と段取りしています。

お客様は初めての体験です。

金切声のようなピアノでは、良いも悪いも分からなかったことが、

タッチとのバランス、雑音、音色のバラつき、音の止まり方などが気になってきます。

それはピアノへの要求ということで新しい世界の始まりなんですが、


今までの欠点が見えてくることで、

不安が芽生え、僕の責任ということになってっしまう場合もあります。


一般的に音色(調律でなく)を依頼したらどれだけ費用が掛かるのか、

それができる人がどれだけいるのか?

高い壁に低価格と短時間で挑戦していることをご理解いただき、

仕事はこれで終わりでなく、次回も続くことをご承知ください。

一度のやればいいのですが、調律2、3回分の費用となります。

その時点でお客様の負担が大きくなります。

それは私の本来の目標と違ってきます。



来年の目標

タッチも音色も短時間でまとめることに努力して参りましたが、

本体の音の発声から手を入れること、

木の音、鉄の音の発声の時間をずらすことができれば、

音はよりまろやかに、弾き心地も良くなると思います。

それにはピアノがどのように振動が音に変換されて、

ピアノ本体を振動が流れる順番、障害などを理解しないといけません。

これは分解しようが、考えなければ分からないことです。

調律師なのに分かっていないのか?と思われるかもしれませんが、

あまりに近代化、細分化されて私たちは考えることをやめてしまいました。

多分、非常に単純でしょうがないことです。


鉄と木の音の出る時間をずらす、

その意味さえ何年も考えて、人の意見も聞きながら到達した考えです。


まだまだ結論は程遠いですが、

鉄骨は鳴ってはいけない、そう言われてきました。

それは弦の振動を拾ってはいけないという意味で、

一度木に流れた振動を鉄骨が吸って、

もう一度木に還元しているのではないか、まるでバッテリーのように。

だから遠くで鳴って近くでうるさくないピアノは、

鉄の音が後から聞こえるのではないかと考えています。

何百回も何千回も考えるのにお金はかかりません。

今年それが分かるのか、10年後なのか、分からないのか?

何とも申し上げれません。


そして、その音色でさえ通過点で、

本来はもっとシンプルで素直でなければならなく、

次の段階も、もちろんあります。

できることから、始めて行きます。






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Author:ノブ
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