ピアノの剛性を考える、
いつものように、個人の調律師の独り言です、気にされないでください。
今回は
剛性の無いピアノを考えてみたいと思います。
ピアノの剛性がないと、どうなるのか?
・調律が安定しません、中音から上の高い音域がすぐに下がります。
・眠たいミイラのような干からびた音がします。
・メローディーラインの一番鳴ってほしい次高音部が鳴りません。要は反応が悪い眠たい音と、高音部の音程が下がりやすいということでしょうか?
高音が鳴らないのは、剛性が足りないだけではないと思うので、
そこを説明させていただきます。
ピアノの反応しやすい音域が中、低音になっていると高音は鳴りません。逆に、倍音がたくさん出ているピアノは勝手に高音側も鳴ります。
どういうことなのか? 本体、メカニックが中音、低音が鳴りやすい設定になっているということです。
物は振動に反応しやすい音域がそれぞれあるので、
ガラスは高い音域で反応しやすいでしょうし、
ゴムは低音で反応するでしょう。
ピアノも反応しやすい音域が下がっているということでしょうか?
アリコートなんかも倍音を出すための補助装置ですね。
アリコートの欠点は、基音の振動が薄められることなので、一長一短かもしれません。

また、整備も大切です。
弦が汚れていても高い倍音は出にくくなりますし。
メカニックの調整で、ハンマーの打弦速度が遅くても高い倍音は出ません。
(ドラムをべったり叩くのとスナップを効かせて素早く叩くのをイメージしてください)
ハンマーが柔らかすぎても眠たい音ですし、固すぎても音が割れます。
ねじが緩んだピアノも取り付け剛性が下がって、高い倍音が出にくくなります。
湿気で重くなった木、動きの悪いメカニックも低音寄りになります。
そんな調整をしても、なお高音部の鳴りが悪い場合はピアノの本体の問題かもしれません。
響板がへたって、もしくは強度が足りなくて、弦への反発力がないんです。オーバーホールをしたピアノで、弦圧2キロでも反発力がなければ眠たい音のままです。
バイオリンには魂柱があります。
響板の剛性を上げるためでしょうか?
そして、弦への反発力を上げるためでしょう。
ピアノに魂柱はありません。
バイオリンの方がシンプルでデリケートな楽器にも拘らずです。
ピアノに魂柱があれば、3割ほど剛性の問題は解決できると思います。
これ以上はご想像にお任せいたします。
あまりにも突飛な発想ですね。
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